カテゴリ: Java 更新日: 2026/02/05

Java LinkedHashMap完全ガイド!Mapの順序保持と使い道を初心者向けに徹底解説

Java LinkedHashMapとは?順序を保持するMapの特徴と用途
Java LinkedHashMapとは?順序を保持するMapの特徴と用途

先生と生徒の会話形式で理解しよう

生徒

「JavaでMapを使っているのですが、データを追加した順番で取り出したいのに、順番がバラバラになってしまいます。どうすればいいですか?」

先生

「それはHashMapを使っているからですね。HashMapは処理速度が速い一方で、要素の順番を保証してくれないという特徴があります。順番を保持したいなら、LinkedHashMapを使うのが最適ですよ。」

生徒

「LinkedHashMap?普通のMapとは何が違うんですか?」

先生

「LinkedHashMapは、HashMapの機能に加えて、要素同士をリンクで繋ぐことで追加された順序を記憶できるクラスです。具体的にどう使うのか、一緒に見ていきましょう!」

1. JavaのLinkedHashMapとは何か?

1. JavaのLinkedHashMapとは何か?
1. JavaのLinkedHashMapとは何か?

Javaでは、データを「キー(Key)」と「値(Value)」のセットで管理するためにMapという仕組みが用意されています。LinkedHashMapは、そのMapの一種で、「データを追加した順番」をそのまま覚えておいてくれるのが最大の特徴です。プログラミング初心者にとって、「入れた順番で表示される」というのは直感的で、とても理解しやすいポイントと言えるでしょう。

よく使われるHashMapは処理が速い反面、内部ではハッシュ値を使って管理しているため、追加した順番は保証されません。その結果、「なぜこの順番で表示されるの?」と混乱することもあります。一方、LinkedHashMapは、各データを前後につなぐ仕組み(連結リスト)を内部に持っており、これによって追加された順序が自然に保たれます。

例えば、「登録した順にメニューを表示したい」「入力されたデータをそのままの順番で確認したい」といった場面では、LinkedHashMapを使うだけで余計な工夫が不要になります。Listのような分かりやすさと、Mapの便利さを兼ね備えた存在で、java.utilパッケージに含まれています。

まずは、プログラミング未経験の方でもイメージしやすい、簡単なサンプルを見てみましょう。ここでは「番号」と「名前」をセットで登録し、追加した順番で表示します。


import java.util.LinkedHashMap;
import java.util.Map;

public class LinkedHashMapSample {
    public static void main(String[] args) {
        // LinkedHashMapを作成
        Map<Integer, String> members = new LinkedHashMap<>();

        // データを追加(追加した順番がそのまま保たれる)
        members.put(1, "田中");
        members.put(2, "佐藤");
        members.put(3, "鈴木");

        // 中身を順番に表示
        for (Integer key : members.keySet()) {
            System.out.println(key + "番 : " + members.get(key));
        }
    }
}

このプログラムでは、「1 → 2 → 3」という追加順が、そのまま表示結果に反映されます。難しい並び替え処理を書かなくても、LinkedHashMapを選ぶだけで自然な順序管理ができる点が、大きな魅力です。Mapを初めて学ぶ方にとっても、安心して使い始められるクラスと言えるでしょう。

2. HashMapやTreeMapとの決定的な違い

2. HashMapやTreeMapとの決定的な違い
2. HashMapやTreeMapとの決定的な違い

Javaには主に三つの有名なMapクラスがあります。それぞれの違いを理解することで、適切な場面でLinkedHashMapを選択できるようになります。まず、最も一般的なHashMapは、順序を一切気にしません。その代わり、データの追加や取得のパフォーマンスが最も優れています。

次にTreeMapですが、これは「キーの自然順序(アルファベット順や数値順)」で自動的に並べ替えを行うクラスです。追加した順ではなく、特定のルールに従ってソートされた状態で保持したい場合に適しています。

そして今回解説するLinkedHashMapは、「追加された順番」をそのまま維持します。この特徴により、プログラムの実行結果が常に予測可能になり、デバッグもしやすくなるというメリットがあります。用途に応じてこれらを使い分けるのがJavaマスターへの近道です。

3. LinkedHashMapの基本的な使い方

3. LinkedHashMapの基本的な使い方
3. LinkedHashMapの基本的な使い方

それでは、実際にコードを書いてみましょう。まずは最も基本となる「データの追加」と「表示」の流れを確認します。以下のコードでは、果物の名前をキー、その価格を値として格納しています。


import java.util.LinkedHashMap;
import java.util.Map;

public class BasicLinkedHashMap {
    public static void main(String[] args) {
        // LinkedHashMapのインスタンス作成
        Map<String, Integer> fruits = new LinkedHashMap<>();

        // データの追加(putメソッド)
        fruits.put("Apple", 100);
        fruits.put("Banana", 80);
        fruits.put("Orange", 120);
        fruits.put("Cherry", 200);

        // データの表示
        for (Map.Entry<String, Integer> entry : fruits.entrySet()) {
            System.out.println(entry.getKey() + " : " + entry.getValue() + "円");
        }
    }
}

このプログラムを実行すると、追加した順番通りに出力されます。実行結果は以下の通りです。


Apple : 100円
Banana : 80円
Orange : 120円
Cherry : 200円

もしこれがHashMapだった場合、出力順序は実行環境によって変わり、「Orange」が最初に来ることもあれば「Cherry」が最後になることもあります。この「確実な順序」こそが最大の魅力です。

4. アクセス順での並び替え機能(LRUキャッシュ)

4. アクセス順での並び替え機能(LRUキャッシュ)
4. アクセス順での並び替え機能(LRUキャッシュ)

実はLinkedHashMapには、単純な「追加順」以外にもう一つの強力なモードがあります。それが「アクセス順」での保持です。これは、直近で使ったデータを末尾に移動させる仕組みで、キャッシュシステムを作る際に非常によく利用されます。

コンストラクタの第三引数に「true」を渡すことで、このモードが有効になります。これを設定すると、getメソッドやputメソッドでアクセスされた要素が、リストの最後に移動します。この仕組みを利用すれば、古いデータから順番に削除する「LRU(Least Recently Used)」というアルゴリズムを簡単に実装できます。初心者の段階では少し高度に感じるかもしれませんが、大規模なシステム開発では必須の知識となります。


import java.util.LinkedHashMap;
import java.util.Map;

public class AccessOrderExample {
    public static void main(String[] args) {
        // 第3引数をtrueにするとアクセス順になる
        LinkedHashMap<Integer, String> cache = new LinkedHashMap<>(16, 0.75f, true);

        cache.put(1, "ユーザーA");
        cache.put(2, "ユーザーB");
        cache.put(3, "ユーザーC");

        // ユーザー1にアクセスする
        cache.get(1);

        // 中身を表示(1が最後に移動している)
        for (Integer key : cache.keySet()) {
            System.out.println("ID:" + key + " " + cache.get(key));
        }
    }
}

上記のコードを実行すると、最初に登録した「ユーザーA」が最後に移動していることが分かります。


ID:2 ユーザーB
ID:3 ユーザーC
ID:1 ユーザーA

5. LinkedHashMapを利用する主なメリット

5. LinkedHashMapを利用する主なメリット
5. LinkedHashMapを利用する主なメリット

ここまでの内容を踏まえて、このクラスを利用する具体的なメリットを整理しましょう。まず第一に「予測可能性」です。テストコードを書く際や、デバッグ中に中身を確認する際、常に同じ順番でデータが並んでいることは開発者の精神衛生上、非常に良い影響を与えます。順番がバラバラだと、意図したデータがどこにあるのか探す手間が増えてしまいます。

第二に、画面表示への親和性です。例えばWebアプリケーションで、ユーザーが入力したフォームの項目順を保持したまま確認画面に出したい場合、このクラスを使えば特別な並び替えロジックを書かずに済みます。プログラムの記述量が減り、結果としてバグの混入を防ぐことができます。

第三に、複雑なデータ構造の基礎として使える点です。前述したキャッシュ機能だけでなく、順序が重要な設定ファイルの読み込み、歴史的な時系列データの管理など、活用の幅は多岐にわたります。メモリの使用量はHashMapよりわずかに多くなりますが、現代のコンピュータのスペックを考えれば、そのデメリットよりもメリットの方が遥かに大きいと言えるでしょう。

6. 実践的なサンプル:注文履歴の管理

6. 実践的なサンプル:注文履歴の管理
6. 実践的なサンプル:注文履歴の管理

実際の開発シーンを想定したサンプルプログラムを見てみましょう。ネットショップなどで、お客さんがカートに入れた商品を、入れた順番通りに処理するケースを想定します。ここでは商品IDをキーに、商品名を値として保持します。


import java.util.LinkedHashMap;
import java.util.Map;

public class OrderHistory {
    public static void main(String[] args) {
        // 注文履歴を保持するマップ
        Map<String, String> history = new LinkedHashMap<>();

        history.put("ORD001", "ノートパソコン");
        history.put("ORD002", "ワイヤレスマウス");
        history.put("ORD003", "モニターアーム");
        history.put("ORD004", "キーボード");

        // 注文があった順番に通知を送るイメージ
        System.out.println("=== 注文処理を開始します ===");
        history.forEach((id, name) -> {
            System.out.println("注文ID: " + id + " の商品 [" + name + "] を発送準備中...");
        });

        // 特定のキーが存在するか確認
        if (history.containsKey("ORD002")) {
            System.out.println("\n注文ID: ORD002 はシステム内に存在します。");
        }
    }
}

実行結果は以下の通り、追加した順番通りに発送準備が進んでいきます。


=== 注文処理を開始します ===
注文ID: ORD001 の商品 [ノートパソコン] を発送準備中...
注文ID: ORD002 の商品 [ワイヤレスマウス] を発送準備中...
注文ID: ORD003 の商品 [モニターアーム] を発送準備中...
注文ID: ORD004 の商品 [キーボード] を発送準備中...

注文ID: ORD002 はシステム内に存在します。

7. LinkedHashMapを使う際の注意点とパフォーマンス

7. LinkedHashMapを使う際の注意点とパフォーマンス
7. LinkedHashMapを使う際の注意点とパフォーマンス

非常に便利なクラスですが、いくつか覚えておくべき注意点もあります。まず、パフォーマンス面についてです。LinkedHashMapは「ハッシュテーブル」と「双方向連結リスト」の両方を管理しているため、メモリ消費量がHashMapよりも多くなります。数万件、数百万件といった膨大なデータを扱う場合は、メモリの空き容量に注意が必要です。

また、計算量についてはHashMapと同様に、基本的には定数時間(O(1))でアクセスや挿入が可能です。ただし、連結リストの更新処理が必要な分、純粋な速度面ではHashMapに軍配が上がります。ミリ秒単位の極限のスピードを求める計算処理などでは、順序が必要ない限りHashMapを使うのが定石です。

もう一つの注意点は「スレッドセーフ」ではないことです。複数のプログラムから同時に一つのLinkedHashMapを操作する場合、データが壊れてしまう可能性があります。もしマルチスレッド環境で使用する場合は、Collections.synchronizedMapメソッドを使って同期化するか、他の並行処理用コレクションを検討する必要があります。初心者のうちは一人で動かすプログラムが多いですが、将来的にチーム開発や大規模開発に関わる際には必ず意識しなければならないポイントです。

8. 応用:重複したキーの取り扱いとデータの更新

8. 応用:重複したキーの取り扱いとデータの更新
8. 応用:重複したキーの取り扱いとデータの更新

Mapの基本特性として、同じキーを二回追加しようとすると、古い値は新しい値に上書きされます。LinkedHashMapにおいて、既に存在するキーに対してputを行った場合、その順序はどうなるのでしょうか?

デフォルトの動作(挿入順モード)では、既存のキーの値を更新しても、その要素の並び順は変わりません。最初にそのキーが挿入された時の位置に留まります。一方で、アクセス順モードに設定している場合は、値を更新した際も「アクセスされた」と見なされ、その要素は末尾に移動します。このように、モード設定によって更新時の挙動が微妙に変わる点は、予期せぬ挙動を防ぐために理解しておきたいポイントです。


import java.util.LinkedHashMap;
import java.util.Map;

public class UpdateOrderCheck {
    public static void main(String[] args) {
        Map<String, String> map = new LinkedHashMap<>();
        map.put("A", "データ1");
        map.put("B", "データ2");
        map.put("C", "データ3");

        // 既に存在するキー "A" の値を更新
        map.put("A", "データ1(更新済み)");

        // 表示(Aの位置は変わらず先頭のまま)
        for (String key : map.keySet()) {
            System.out.println(key + " : " + map.get(key));
        }
    }
}

実行結果から、上書きしても順番が変わらないことが確認できます。


A : データ1(更新済み)
B : データ2
C : データ3

9. どのようなシーンでLinkedHashMapを選ぶべきか

9. どのようなシーンでLinkedHashMapを選ぶべきか
9. どのようなシーンでLinkedHashMapを選ぶべきか

最後に、具体的な選定基準をまとめます。初心者が迷ったときは、以下のいずれかに当てはまるかどうかを基準にしてみてください。

  • 入力順を維持したい: 設定ファイルの内容や、ユーザーが入力したリストをそのままの順番で保持・表示したいとき。
  • 実行結果を一定にしたい: HashMapのように実行するたびに出力順が変わると困る自動テストなどの場面。
  • 最近使ったものを優先したい: 履歴管理や、キャッシュの実装でアクセス頻度や新しさを重視するとき。
  • デバッグのしやすさを重視したい: 開発初期段階で、内部状態を把握しやすくしておきたいとき。

Javaには多種多様なコレクションが用意されていますが、このLinkedHashMapは「Mapとしての便利さ」と「Listのような順序管理」を併せ持つ、非常にバランスの良いクラスです。これを使えるようになると、データの取り扱いに関するプログラミングの幅がぐっと広がります。ぜひ、日々のコーディングに取り入れて、その便利さを実感してみてください。

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